DREAM NOVEL
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あなたのために用意しました!


点滴袋を抱きしめて


絆。それは誰かと誰かの強い結びつきであり、一度結んで仕舞えばなかなか振りほどけないものである。例えばとクー・フーリン・オルタのようなものだ。カルデアのマスターである、天真爛漫な少年が突きつけた現実に、は盛大にため息をついた。

「おめでとう、さん!とうとうオルタとの絆が満了だね。オルタの所に行けばきっと何か記念のものがもらえるよ」
「立香君。この結果はオルタは知ってるのかい」
「うーん、まだ言っていないけど、感覚でわかってるんじゃないかな?ほら、オルタは魔力の動きに聡いし」

とうとうこの日が来てしまった。とオルタは所謂恋人のような関係なのだが、今のところはキス止まりにしている。が絆を満了させるまでは一線を越えないと宣言したためで、当然ながらオルタにとってはいたく不本意な出来事だった。満了したと知ればどうするかなど容易に想像される。とて、オルタとの同衾自体に異論はない。異論はないのだが、何をどうするのか想像するだけで恐ろしい。怪力のオルタのオルタで破壊されたら、受け止めるどころではなく死んでしまう可能性すらある。にはそこまで倒錯した趣味はないものだから、少しでも長く生き延びたかった。

だが、運命の日が来てしまったのだから、も腹をくくらねばならないだろう。長々とため息をつくと、はこのカルデアが誇る万能の人に会いに行くことにした。

「やあやあ君!君は来ると思ってたよ。どこから始めよう?君はどこまで経験があるかな」

自分を探し回っているであろうオルタを避けられるように慎重に慎重を重ねて、はどうにかレオナルド・ダ・ヴィンチの住まう研究室へと辿り着いた。喜色満面、興味津々といった調子のレオナルドが全てを把握していることは、むしろ驚きでもなんでもない。

「女性とならば多少は。後ろは開発してませんよ。それに、俺に興味を持つ人はいないのでその……どうしたら男性を喜ばせられるのかも検討がつきません」
「正確で正直な報告で宜しい。仕事がしやすくなるね」
「ありがとうございます」

今となっては違うのだけれども、の本業は研究職である。つまりレオナルドは上司に当たるわけで、さながら自分の研究結果のごとく客観的に事実を報告するなどには朝飯前のことだった。ほんの少しだけ羞恥はあったが、最早時間はあまり残されていない。後ろはまだではあったものの、前面に関しては全て開発済みの点は、冒険的なプロのお姉様の世話になった自分を褒めてやりたい。なんにせよ、オルタに知られたならば面倒この上ないので、はレオナルドの元で全ての開発を完了させようとしたのだった。

「ではいつものように裸になったらそこのポッドに入ってね。大丈夫、この日のためにチューニングして準備万端だよ。大船に乗ったつもりでどんとまかせちゃっておくれ」
「……仕事の合間に何してるんですか」

サーヴァントのモチベーション維持を支援することも仕事の一環だよ、という戯言を無視すると、は魔力を自分の体に充填する時同様、ポッドのある部屋に入ってさっさと裸になる。モニター越しにレオナルドに見られているのは承知していたが、もはや何度も繰り返された実験なので何とも思わない日常の光景だった。外気に少し震えると、程よい傾斜がついたポッドの中へと入る。蓋が自動で閉じられた。

「ん?」

常であればここで自然と眠りに落とされるのだが、今回は目的が異なるためだろう、突如として起きたポッドの形態変化には目を見開いた。背中の部分が軟体動物のように震えて体が沈み込む。食べられるような恐怖が脳裏をかすめ、落ち付けようと深呼吸した瞬間、一斉に背面から触手伸びた。

「ひ、なんだこれ、やめ、」

人造生物だということはわかる。ヌメヌメとした粘液をまとった触手は、レイシフト先でまま見受けられる藤壺のような生き物に似ており、目的が自分と合致しているとわかりながらもぞっとしてしまった。凸凹のある触手はまずの体の形を調べ、覆い、焦らすように快楽を感じる場所の周辺を嬲っていく。
頭がぼうとしてくることから、魔力か何かでを酔わせているらしかった。理性なんて手放して仕舞えばすぐに終わる。ごくりと唾を飲み込むと、は全てを委ねるように体から力を抜いた。

「んぅ、ふ、ぁっ」

褒めるように頬を撫でた触手が口の中に入り込む。オルタのものであればこれでは済まないだろう。悪戯に舐め、甘噛みすれば、ぶるりと震えた触手がの乳輪を撫でていた手でキュッと乳首を摘んだ。かつて商売女に開発され、自分でも慰める際に触れているだけあり、すぐさま下半身が反応して行く。勿論触手がそれを等閑にすることはなく、ゆるりと巻きついてしごいてくれた。袋を揉み、会陰を軽く叩かれ、は舌を出して喘ぐ。人間であればできない多方面からの快楽の享受は理性をとろかすのに十分だった。もっともっとと全身で強請ると、ぎゅうと陽根の根元を締められ、は悲鳴を漏らした。

 痛みは理性をぶり返させて、目的はお楽しみではないのだと叫ばせる。触手が膝を割り、前から後ろから尻を開き、入り口を濡らして行った。オルタは果たしてここまで丁寧にしてくれるだろうか。ちらと冷静な考えが頭をよぎる頃、つぶりと初めての侵入者が体内に潜り込んだ。思ったほどには痛くはない。おまけに触手はぬらぬらして柔らかだ。体内で形を変えて腸管を調べて行く。一本だけではなく、二本三本と数を増やし、ぎちぎちと尻穴を拓いていた。彼のそれはどれ程大きいのだろう?ゆったりと他の部分に与えられる快楽に身を任せていると、突如として腹の奥がキュンと疼いた。

「え?あ、ここ?うん、ここ、ここぉ」

ようやっと触手はの感じる場所を見出してくれたらしい。ふわふわとする頭の中で、はすっかりオルタに犯されていた。とろとろに綻びきった孔を締まりがないと揶揄される幻聴まで聞こえてくる。ずるんと一度抜かれれば寂しさにため息を漏らすし、奥まで一気に突き入れられれば嬌声をあげて背をそらした。開発される前の恐怖や躊躇いが嘘のようには関門に降る喜びに浸っている。陽根は戒められたままだから極まるということがない。脳裏がチカチカとして星が輝く。好き、好き、どこもかしこも気持ちが良い!なんて幸せ!

陽根を解き放たれ、放置されたにも関わらずは果てた。何もでなくとも果てしなく絶頂が続いている。オルタは気持ちが良いだろうか?

「くー、ふーりん」
「おう」

確かに声が聞こえたことに安堵して笑うと、は天国の向こう側へと飛んだ。




とんだプレゼントだった。快楽を知り愚かさを知るオルタであったが、眼前に展開した狂宴には目を見開く。絆が満了した相手の淫蕩な様を見せつけられるとは、一体何の拷問と言うのか。楽であるに越したことはないが、蹂躙する楽しみだってあるのだし、短気なオルタと雖もその手間を惜しむつもりはなかったのだ。なのに、である。転がっているの目は陶然としてどこか遠くを見つめ、全身がぐずぐずに蕩けきっていた。全ては事後である。

「ああ、オルタ!ここにいたんだ。探してたよ」
「何の用だ、マスター」

時は10分ほど前に遡る。との絆が満了したことを悟り、どこかで窮しているであろうを探し回っていたオルタに、やけに笑顔の立香が声をかけてきたのだ。彼なら走っているだろうか、と問いかけようとしたところで強引に実験場へと引っ張られる。マスターの用命となれば仕方がない。

「オルタは、ずっと頑張っていてくれたからね。僕とダ・ヴィンチちゃんから何かお祝いをあげたいなって話をしてたんだ」
「お祝い?一体何の話だ」
さんと、絆が10になったでしょ」

にこりと少年は無垢な笑顔を浮かべる。何故だか鳥肌が立ち、オルタはぎゅっとパーカーの裾を掴んだ。

「だから、これは僕たちからのプレゼントなんだ」
「な」

オルタが足を踏み入れると同時に、青い液体のようなもので埋まっていたポッドの蓋が開く。ニチャニチャとした粘性の液体に包まれていたのは、探し回っていた、その人だった。こうして冒頭に戻るわけである。

「あとは好きにして良いからね。隣にキングサイズのベッドも用意したよ」
「ああ」

他になんと返せば良いのか、オルタにはどうしてもわからなかった。こんな状況は生まれて初めてである。喜んで飛びつくべきか?それとも怒りに身をまかせるべきか。いずれにせよ誰かの掌の上で踊らされた結果だ、と言う事実が振り払えず、オルタは呆然として惨状を眺めていた。

「くー、ふーりん」
「おう」

棒立ちになってしまったオルタに救いを差し伸べたのは、慈愛に満ちた呼び声だった。可能な限り平静を装って近づけば、へらりと焦点の合わぬ眼が笑う。こんな状態に陥ったのはにとっても災難だろうに、笑顔を浮かべるあたりが彼らしいとオルタには思えた。手を伸ばし、頬を撫でれば嬉しそうにがその手に口付けてくる。さながら小動物のような動きだった。

「すき」

囁かれた声は実に小さなものだったが、オルタは全身に火がついたように燃え盛るものを覚えた。好き。なんと言うストレートな表現だろう!普段のであれば、かっこいいだとか、ときめくだとかはのたまうくせに、中々口にしない台詞である。舌足らずなところがまたあどけなさを伴って愛しさを呼び込んだ。パーカーが濡れるのも厭わずにをポッドから抱え上げると、はぎゅうと抱きついて同じ台詞を繰り返す。レオナルドがちょっとした開発をしたのだと言っていたが、脳に損傷でもできたのかもしれない。壊すのであれば自分で、と決めていただけに許しがたい話だった。

 隣室への扉を乱暴に開けると、確かに愛の営みに全て対応します!とでも言うように設備が整っている様が目に入る。一体どこまでマスターたちは悪ふざけの対象としたのだろうかと考えるだけで頭が痛くなった。をベッドの上ののせると、オルタは体を拭いてやろうと身を離そうとしたが、却ってぎゅうと密着されて低く唸る。普段であればの方から接触することなど珍しいが故に喜ばしい。狂わせられたからこその行為だとすれば実に虚しかった。

「離れろ。ベタベタしたままでオレはやるつもりはない」
「やだ、もっとする」
「だから、するから離れろと言っている」

服を脱げないと訴えれば、ようやっと腕を緩められた。潤んだ瞳に見つめられながら脱ぐと言うのもなかなか乙なものだな、とわざと時間をかけながら脱いでいると、スンスンと子犬のような鳴き声が上がる。ついには自分でその後孔を弄り始める始末で、オルタは頭が痛くなってしまった。あの忌々しいポッドに入るまでは確かに処女だったと言うのに、なんと言う体たらくか!不覚を取ったことに舌打ちすると、震えたが怯えたようにこちらを見ることが許せない。全て脱ぎ去ってに覆いかぶさり、オルタはかぱりと開いた口で喉元に噛み付いてやった。もとよりこの程度の戯はしていたため、は怯えることなく愉悦に唇を歪める。膝を割ってより密着するようにすると、オルタは未だ育ちきっていない自身にの手を誘った。幼児のように素直な仕草で拙い手が這う。あのが、と思うだけで滾ったが、オルタは努めて冷静に相手に囁いた。

「いいか、。これがお前の中に入るんだ。入れて欲しけりゃ勃たせろ」
「ん」

億劫そうに体を起こすと、なんのためらいもなくが奉仕を始める。手での奉仕は想定の範囲内だし、男同士であるのだから普段の行為でどこをどうすべきかはわかるだろう。が、そこから先は完全にオルタの裏をかいていた。

「ぁ、おいっ」
「う?」

柔らかくオルタの陰嚢を食んでいたが不思議そうに見上げてくる。当たり前のことをしている風であるのがどうにも腹に据えかねた。オルタの知る限り、は同性と性交渉を持ったことがない。にも関わらず、オルタが止めないとわかるやせっせと陰茎に舌を絡めるなどするとは何事だというのか。拙さは経験のなさからなのか、技巧の問題によるのかわからず、オルタは低く唸ってを引き剥がした。

「言え、どこで学んだ?他の奴にもしたのか、オレには許さなかったくせに」
「さっきもした」

うっとりとが答える。普段の彼であれば怒気を孕んだオルタの声だけでも震えるというのに、まるで春の草原のように爽やかで柔らかい。

「クーと」

可愛い生き物を呼ぶような物言いに、オルタは怒る気が抜けてしまった。馬鹿な生き物だ、なんて愚かで愛しいのだろう!要するにオルタの幻覚と先程まで遊んでいたらしい。察するにレオナルド達にすっかり体を準備されたのだが、想像以上の出来だった。幻覚であっても今の自分が初めてではないという事実は腹立たしいが、オルタはただの頭を撫でて押し倒すにとどめた。

「いい子だ。褒美をくれてやる」
「うん」

尻尾も使って器用にの体を開くと、オルタはひくひくと震える孔に先端を当て、ゆっくりと押し入った。入れられながら痙攣するところを見ると、調教の中では後ろでの快楽がすっかりお気に召したと見える。肩口を、鎖骨を、喉元を、胸を、痕がつくまで噛んでも響くのは歓喜の歌だ。

「あんなに怖がってたのになあ、そんなにオレの事が好きか」
「好きだよ」

先程までと打って変わって明瞭に響く声に驚いての顔を見れば、首元まで真っ赤に染めたが笑っていた。どうやら理性を取り戻したらしい。幻覚から現実への移行に理解できていないようだが、常のような無駄な反抗はせず、は垂れたオルタの髪をひとふさとってうやうやしく口付けた。

「そうでなけりゃ頑張れるか、恥ずかしい」
「は、まったくお前は最高だな」
「ぁんっ」

ぐっと腰を動かすと、オルタは現実がなんであるのかを教えることにした。




理想と現実は異なるし、妄想と理想ももちろん異なる。理想も妄想も突き抜けた今、は何よりも現実に満足していた。対面するオルタが体を揺さぶると、奥をくすぐられて簡単にほころんでしまう。何度交わったかはよくわからない。惜しいことに行為の途中から現実に戻ったので、は未だに夢心地だった。一度は魔力が完全に枯渇し、意識を飛ばしかけたがそこは流石のオルタ、反対にに魔力を押し戻して復活させた。彼にとってもこの遊戯は満足するものなのだろう。オルタの胸板から自分の腹に目を向ければ、ぽこんといびつに膨らんでいた。お楽しみの証だ、と思うと胸がキュンとする。体の内側も喜びで震えると、突如としてオルタが爆ぜた。

「ばか、急に締めるな」
「クー・フーリンがかっこいいから仕方ないさ。ね、キスしてくれよ」
「人は変わるもんだな……いいぜ」

存外ご機嫌な様子で体を眺めると、オルタが噛みつくような口づけを仕掛けてくる。噛みつくのはオルタにとって挨拶のようなもので、最早の体はそこら中オルタの噛み跡だらけだった。オルタの方が背が高いため、から仕掛けることは難しいが、こうして許されれば互いに与え合うような時間を過ごすことができる。身体に害がなければ、は元々この行為には大賛成なのだ。

「なんかさ、良すぎて寂しくなりそう」
「なんでだよ」
「お前が離れたら、こうしてたことを思い出すから」

きゅ、と下腹部に力を入れると、オルタがうう、と唸って突き上げを再開する。全く底知れぬ男なのだ。きっとこれまで何人もの人間が喜び咽び泣いただろう。

「寂しくさせないとは約束できねえが、寂しくなったら言えよ。他で満足できると思うな」
「かっこいいなあ、んっ、そこ、そこすきぃ」
「約束だ」
「する、やくそく、するっ」

そんな優しい言葉をかけてもらえるのは今世自分だけだ。腹の中がまた膨らませられる。温かさが嬉しく、は頬を緩ませた。頭を撫でるオルタの手はどこまでも優しい。この男は存外繊細でまともなのだ。もしかすると、一見平凡でこれという特徴もない自分の方がおかしいのかも知れない。ずるりと抜かれる肉槍に惜しむ声を漏らすと、はほんの少しの羞恥から顔を赤くした。昨日までの自分では考えられない有様である。並んで寝転ぶと、オルタはの顔中に口づけの雨を降らせた。

「いい子だ、よくついてこれたな」
「オルタは楽しめたか?あ、いや今後参考にしようと思って」
「感想を聞くのは野暮だぜ」

そんなことくらいは経験の少ないにもわかっている。が、努力したのだから成果を確かめたいと思うのも確かだった。研究者としての本文が刺激されているのかも知れない。じっと答えを待っていると、オルタは徐に手を伸ばしての膨らんだ腹を撫でた。

「孕ませてやりたいくらいに最高だった。どうだ、満足したか?」
「うん」

下半身を揺らすと、たらりと中からオルタの放った精液が溢れ出てきては閉口した。粗相をしたような恥ずかしさもあるが、どちらかと言えば勿体無くて仕方がない。人間同士であれば腹を壊すそうだが、英霊のものであれば問題ないのだろうか。オルタのギザギザの歯を指先でつつくと、は何もかもが億劫になって目を閉じた。

「おやすみ、。よく寝ておけ」
「クーもな。おやすみ」

彼が寝ないことを知っているが、親しみを込めて告げたことではひどく満足した。足りなくなったらばまた注いでもらえばいい。これまでだって、二人はずっとそうしてきたのだ。愛も、欲も、安心も、互いが互いを埋め尽くすその様をは夢に見た。


〆.

あとがき>>
 年内最後の作品はオルタになりました。そう、今を逃すと書けない可能性が高い、そんな展開の第二部を迎えようとしているので焦った次第です。オルタの裏をかいて慌てさせる様を見れたら面白いだろうな、と言う考えで書いたものの、想像以上にイロモノになってしまったことは否めません。次があるならば穏やかなものを書きたいと思います。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました!